ねぇ、ちゃんと聞いて【青】

#24 ページ24

『2人はバスケ部って事だよね？』





渡『うん』





『まさか知り合いって思わなくて、心臓止まるかと思ったよ』





渡『なんで渡辺くんがあの先輩と一緒にいるの？って？笑』





『そうそう』





渡『俺ら結構、普段から普通に校内でも連んでんだけどなー』





『へぇ』





渡『そこはもっと興味持てよ、笑』





『ふふふ、笑』





こんな感じでいつのまにか緊張は解けて、正座も崩れて、すごくリラックスしながら電話をしている自分がいた。






渡『ふっかに連絡先とか聞かないの？』





ふいに出たそんな質問。





私としては連絡先を知る必要はない。

だって、別に好きではないから。






だけど渡辺くんは私が彼を好きだと思っているし、来たるダブルデートの為にきっとくっついて欲しいとさえ思っているはず。






『んん〜…だけど、た…つや？すごいモテそうだし、今はまだそんな勇気ないかなぁ…？』






何とかそれっぽい事を言って、苦し紛れの言い訳で乗り切る。





「ビビってんなよ、笑」とか揶揄われるんだろうなぁって覚悟してたら、






渡『…なんかぎごちない呼び方だな、笑』


って、違う角度から揶揄われた。






『…だよね、私もそう思うよ、笑』






渡『律儀に辰哉呼びしちゃって』






『だって、ダメ？って言われたらダメとも言えないというか…うーん、、難しいよ』







渡『ふは、難しいか、笑』






『うん、難しい。男子を名前で呼ぶの初めてだもん』






渡『…は、え、マジ？』






『マジ』






渡『どうなってんだよ』






『どうなってんだよって何よ。笑 渡辺くんは女の子の呼び捨てには慣れてるだろうけどね』





ここで自ら聞かなくても良い事を聞いて、カマをかけてしまう。






渡『まぁ、最初に呼んだのがいつかも思い出せないね』







…ほらね、傷付いた。







『ちなみに男子と電話したのも今が初めてだよ。すみませんね』





免疫なさすぎな自分にほぼやけくそ状態で、そんな自虐を。






渡『…マジ？』






『だからマジだって』






渡『…じゃあ（人1）さんが初めて男と電話したその相手役を務めたって事で、今日の事は俺もちゃんと覚えとくわ、笑』







『…何だそれ』









口ではこんな可愛くない事言ってしまったけど、






内心、




すごく

すごく

すごーーーく






嬉しかった。

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