ねぇ、ちゃんと聞いて【青】

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だけど実際そういう訳にはいかず、時間はどんどん過ぎて行く。






電話越しに、ふぁ〜っと渡辺くんの欠伸が聞こえた。






『そろそろ寝なきゃだね』





渡『ん〜、だね。寝るかぁ』





『遅くまでごめんね』





渡『いやそれはこっちのセリフ。急に電話した上に長くなっちゃってごめん』





『全然！楽しかったよ』





あ…





ポロッと本音が出てしまった。






渡『ふはは、そう？俺も楽しかったわ、笑
じゃあ〜おやすみ』





『…うん、おやすみ』








電話を切っても、まだこの余韻から抜け出せない。





彼の‘’おやすみ‘’が、今も耳に残ってる。





渡辺くんも楽しいって言ってくれて、嬉しかったなぁ。






部屋を暗くして目を閉じて、一生懸命寝ようと試みたけど、




結局全然眠れなくて、しばらくは頭も心も渡辺くんでいっぱいだった。






・
・
・







‘’A！？遅刻しちゃうんじゃないの？‘’






そんな声が遠くから聞こえる気がする。





うーん、、、




誰…？





あ、お母さんか。







…え？







ガバっと起き上がり、時計を見ればいつもならとっくに電車に乗っている時間。






「うそっ！ヤバいヤバいヤバい！！！」






私は慌てて顔を洗い、制服に着替えて歯を磨く。





雑に髪をとかした後で、「何でもっと早く起こしてくれなかったの？！」なんて母親に八つ当たり。





とにかくカバンを掴んで、無我夢中で家を飛び出した。






走ればまだ何とかなる、…はず！






とりあえず駅までの道のりで、久美にメッセージを送る。






『ごめん、寝坊した！今日は先行ってて！』





するとすぐに返信が。





久『珍しい…大丈夫？気をつけて来るんだよ！』





そんなメッセージと共に、‘’ファイト‘’と書かれたスタンプが送られてくる。






高校に通い始めて初めての寝坊。







これは絶対に、渡辺くんのせいだ…！

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