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確実に同じ学校ではあるわけだし、会えるチャンスがもう無くなったわけでもないけれど、少しだけ残念に思いながら昇降口へと降りていく。
外へ出て人込みを抜けてから始業式のタイミングで電源を切っていたスマホを見ると、ママからメッセージの通知がいくつか入っていた。
『Aちゃん、写真撮っといたよ!』
『じゃあママとパパはお仕事があるから帰るね、鍵はポストに入れてあるから』
どうやら、ママとパパは入学式を見るだけ見て帰ってしまったらしい。
当然だけど友達もまだできてないし、一人で帰らざるを得ないな...とスマホをブレザーのポケットにしまったとき。
「ねえ」
声を掛けられて振り向くと、さっき転びかけた私を助けてくれたあの人がいた。
「!!あ、あの」
「どうだった?入学式」
「ええ、どうだったって.......」
私がお礼を言おうとするのを知ってか知らずか、楽しげに質問を繰り出して来る。
「ほら、なんかあるじゃん。校長の話つまんなかったーとかさ」
「ないですよ!もしかしてつまんないと思って聞いてたんですか?」
「あ、ばれた?」
「いやそりゃ笑笑笑じゃあ、逆にどうだったんですか?入学式」
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作者名:灯莉 | 作成日時:2023年7月22日 2時