停滞 ページ11
幸せは続かないもので
予想通り、矛先には私がいる。
机の中にあった教科書がなくなった。
席替えで隣になった私と蓮くん。
今日の授業は座学ばかりで
どれもこれも教科書がいるものだった。
「、ありがとう」
黒「珍しいね、忘れ物」
俺は嬉しいけどね、って笑ってくれる蓮くんに
笑いかけられない。
何をしたわけでもなかった。
心当たりは、蓮くんとの関係だけで。
予想はしてたし、覚悟もしてたけど、
時差があって、ないのかもしれないと思ったときに来て
ダメージは抑えられなかった。
次の日は靴がなくなった。
トイレの個室の汚物入れに
一足ずつ別のトイレに入れてあった。
掃除の時間の前に見つけたにも関わらず、
水で濡らされた床。
靴下が濡れた。
次の日は
椅子に赤い絵の具を塗られた。
気付かないまま椅子に座る。
1時間目を終えると
移動教室のため移動し始める。
黒「乃杏、こっち」
これ腰に巻いててと
白色のカーディガンを腰に巻かれる。
訳もわからず、されるがままでいると
保健室に連れて行かれる。
「ちょ、蓮くん、体調悪くないよ?」
黒「、いいから」
入った瞬間鍵をかけられ私の目線にあわせて屈む蓮くん。
黒「乃杏、女の子の日?」
「えっ?ううん、ちがうけど、」
黒「赤いのついてるよ、血出てたりするの?」
すごく心配したように眉を下げている蓮くん。
絶望だった。
血が出ていないって分かっている状態だったとしても、蓮くんにこんな姿を見られてしまった。
恥ずかしくて、悲しくて悔しくて
心がグラグラと音を立てて
落ちてしまいそうだった。
「っ、怪我もしてないし、血も出てない、」
黒「たしかに、血にしては鮮やかだなって思った」
顔から火が出そうだった。
涙がどんどん溢れ出た。
血の味がするほど、下唇を噛んで
少しでも涙が止まるように。
黒「乃杏、いじめられてるの?」
蓮くんまで泣きそうな顔をして。
優しく私の手をとって。
「うん、」
認めてしまった。
私はいじめられてる子ですって。
蓮くんの隣にいていいとは思えなくて
でも蓮くんは
私の肩を抱いて
黒「気づけなくてごめん」
蓮くんの抱きしめる力が増した。
助けて、蓮くん
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作者名:あまつかくらげ | 作成日時:2024年3月20日 21時