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目「目黒、蓮です。よ、よろしくお願いします!」
パチパチパチ...
新卒で入社したこの会社。
俺は総務部に配属になった。
正直、コミュ力は皆無だし、目を見て話すのも無理。
言いたい事の2割言えたらいい方。
友達なんて片手で足りる位しかいなかった。
見た目も、あまり目を合わせたくないから、前髪で目を隠して眼鏡、黒髪っていう地味さ。
恋人は...もちろんいないし、いた事もない。
こんな俺が営業とか花形の部署に配属されてしまったらどうしよう...なんて無駄に心配してたけれど、配属先を聞いて安心した。
「じゃあ、目黒くんの教育係は...Aさん!」
『うぇっ?!私?!』
「よろしくね。じゃ、目黒くん、頑張ってね。」
目「あ、はい!」
そう言って部長は戻って行った。
えっと...確か、Aさん、だったよな...
目「あ、あの...Aさん?」
『あ!ごめんごめん!目黒くんだよね?私、AAです!よろしくね!』
目「あ、よろしくお願いします。」
『私全然聞いてなくてさ、教育係の話。急に振られたからビックリしちゃった(笑) 分かんない事とか何でも聞いてね!って言っても、私もまだ3年目だから教えられる事とか限られてるかもしれないけど(笑)』
目「いや...頼りにしてます、先輩。」
『ふふっ、何か先輩ってくすぐったいね(笑) 普通に名前で呼んで?』
目「あ、はい。Aさん...」
『ん!ありがとう!よし!じゃあ早速だけど、簡単なとこから教えるね。』
俺の教育係になったAさんは、凄く明るくて常に笑顔。ちゃんと人の目を見て話してくれて(俺は基本目線を外してるけど)、こんな俺にも優しくしてくれる。
良い人だ...
正直、学生時代は割と空気のような存在だったから、普通に話してくれる事も、優しくしてくれる事も新鮮で嬉しかった。
その後、Aさんは俺に付きっきりで色々教えてくれた。
教え方も上手で分かりやすいし、メモをとる時間もしっかりくれる。
質問も笑顔で全部答えてくれるし、嫌な顔なんて一切しない。
気付くと、あっという間に終業時刻になっていた。
『まぁ、初日はこんなもんかな?また明日教えるね。今日は初日で疲れたと思うから、早く帰ってしっかり休んでね!』
目「は、はい。お疲れ様でした。」
『うん、お疲れ様!また明日ね!』
Aさんが教育係で良かった。
また明日からも頑張れそう。
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作者名:ちり | 作成日時:2023年11月17日 19時