彼女まで〇センチ (ページ18)

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Aさんと飲みに行ってから数日。

いつも通りの毎日。

阿部さんが戻ってきたと言っても、部署も違えばフロアも違う為、阿部さんに会う事も滅多に無かった。

思ってたより心配しなくてもいいのかな...

なんて、こんな事を思っている時に限って余計なモノを見てしまうもので...

阿｢A！｣

『あ、亮平。』

阿｢久しぶり。｣

『うん、久しぶり。元気だった？』

阿｢まぁ、何とかね。Aは？変わりない？｣

『まぁね。』

阿｢そっか...あ、今度さ、飯行かない？2人が嫌だったら、ふっか達も誘ってさ。｣

『あー...うん。そうだね。』

阿｢あ、もしかして、彼氏いる？｣

『え？何で？いないよ？』

阿｢いや、彼氏いるから他の男と飯とか行きにくいのかなって思って。｣

『あー、ううん！大丈夫！行こう！』

阿｢そう？無理しないでね？｣

『無理なんかしてないよ？久しぶりだから、ちょっと緊張してるだけ(笑)』

阿｢何でよ(笑)何も緊張する事無いでしょ。｣

『ふふっ、そうだよね。ごめん(笑)』

阿｢あ、俺そろそろ行かなきゃ！連絡先、変わってない？｣

『あ、うん。変わってないよ。』

阿｢じゃあ、また連絡する！仕事、頑張ってね。｣

『っ！り、亮平も！』

阿｢ありがと！じゃ！｣

ちょっと用事で他部署に行った帰り、休憩スペースで話す阿部さんとAさんを偶然見かけた。

盗み聞きなんてするつもり無かったけど、やっぱり気になってしまって、向こうからは見えない位置に隠れて、こっそり窺った。

久しぶりのはずだけど、離れてた時間なんて感じさせないような雰囲気の阿部さんと、少し緊張してるのか、いつもの明るさは無いAさん。

Aさんの心情は読めないが、阿部さんは嬉しそうに話している。

阿部さんはもしかして、まだAさんの事、好き、なのかな...

その後阿部さんはAさんの頭をポンポンとして、笑顔で去っていった。

うわ...

凄いな...

Aさんも心做しか顔赤くなってる気がするし...

これは、俺、勝てないんじゃないか...？

盗み聞きなんてしないで、あのまま真っ直ぐ戻ってれば良かった。

阿部さんが去った方向をぼーっと見て動けないでいるAさんを横目に、そっと部署へ戻った。

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