彼女まで〇センチ (ページ23)

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そのまま手を繋いで歩いて帰って、『水飲みたい』と言うから途中のコンビニで水を買って、近くの公園で少し休憩した。

『ぷはーっ！水うまっ！』

目｢ふはっ、ビールの次は水でもオジサンみたい(笑)｣

『だってめっちゃ美味いんだもん！めめくんも飲む？』

そう言って自分が飲んでたペットボトルを渡そうとするから

目｢いやいや！自分の飲みますから！｣

『...そう？じゃあ、あげない。』

Aさんの差し出した水を断ると、何故か少し不機嫌になった。

目｢...Aさん？怒ってます？｣

『怒ってなーい。はー、夜風が気持ちいいね。』

目｢そうっすね。｣

怒ったかと思ってちょっとヒヤッとしたけど、どうやら気の所為だったみたいだ。

『...めめくんはさ、』

目｢え？｣

『めめくんは...好きな人、いる？』

目｢え？！何で？！｣

『んー、何となく？たまには恋バナも良いかなぁって。』

目｢えっと...います。｣

『...そっか。彼女？』

目｢いや！彼女じゃないです！むしろ、彼女できた事ないです...｣

『あ、そうなの？』

目｢...はい。｣

『そっか...良かった。』

目｢え？｣

『ん？』

目｢いや...｣

『私もね、いるんだー。好きな人。』

目｢え｣

『お互い、頑張ろうね。』

目｢は、い...｣

苦しい...

Aさんに好きな人...

『お互い、頑張ろうね。』って、それはきっと、相手は俺じゃないって事だよな。

失恋、確定した？

うわ...泣きそう...

『めめくん』

目｢っ、はい。｣

『帰ろっか。』

目｢...はい。｣

その後は、公園まで繋いでいた手をもう一度繋ぐ事は無くて、少し離れて隣を歩いて、会話もほぼ無くて、Aさんをマンションまで送り届けた。

マンションの前で『送ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。おやすみ。』と言ったAさんは、少し元気が無くて、マンションの方に振り返る瞬間、泣きそうな顔をしてたような気がした。

気になったけど、呼び止める事は出来なくて、そのままマンションの中に入っていくAさんの背中を、ぼーっと見つめる事しか出来なかった。

その後どうやって帰ってきたか分からないけど、気付いたら自室のベッドの上にいて、そこで初めて帰ってきたんだなって気付いた。

この土日は何もする気になれなくて、ただひたすらぼーっとして過ごしていた。

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