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あの日、Aさんに好きな人がいると知ってから、何となく話しかける頻度も、ご飯や飲みに誘う事も、少なくなった。
"ただの後輩"として、何も気にせず今まで通りにすればいいんだろうけど、どうしてもAさんに好きな人がいると思うと、邪魔しちゃいけないと思ってしまって、せっかく少し距離が縮まったのに、入社した頃のような距離感に戻ってしまっていた。
目｢はぁ...｣
残業もなく定時で帰る事が出来た今日、何もする気になれなくて、コンビニで弁当でも買って帰ろうかな、なんて思いながら会社から出ると、少し先にAさんと阿部さんがいた。
目｢っ、｣
2人は肩が触れそうな程近くて、凄く楽しそう。
阿部さんの、Aさんを見る目はとても優しくて、あぁ、好きなんだろうな...と思ってしまう。
Aさんも楽しそうに笑って、時々阿部さんの腕を叩いたりして、まさに"恋人"という感じだった。
Aさんが好きなのは、阿部さんなんだな...
目の前の2人を見て、妙に納得した。
目｢...諦めよう｣
こんな2人を見てしまったら、俺なんかが間に入れるわけがない。
入れたところで、どうにも出来ない。
きっと、より仲の良い2人を見て、勝手に傷付くだけ。
だったら、もう諦めてしまえばいい。
どうせ告白だって出来ない。
それに、Aさんが幸せなら、それでいい。
俺がその幸せを壊すなんて、絶対ダメだ。
ツラいのはきっと今だけ。
時間が経てば、何とも思わなくなるし、Aさんや阿部さんとも普通に話せるようになるはずだ。
前を歩く2人を見ながらそんな事を思って、俺は2人とは反対方向に歩き出した。
目｢今日は、遠回りして帰ろ...｣
『...？めめくん？』
You side
『...？めめくん？』
亮平にご飯に誘われて、2人で会社を出て歩いていた。
信号待ちしながら、思い出話とか色々してたら、視界にめめくんが入ったような気がして、そっちを向くと、とてもツラそうな悲しそうな顔をして、私達とは逆方向に向かって歩こうとするめめくんを見つけた。
どうしたんだろ...
泣きそうな顔してた...
隣の亮平はめめくんには気付いてなくて、楽しそうに喋ってる。
そんな亮平の話が全く入ってこないくらい、私はめめくんの事が気になっていた。
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作者名：ちり | 作成日時：2023年11月17日 19時
