彼女まで〇センチ (ページ29)

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土曜日。

午後から待ち合わせして映画に行こうと約束した。

いつも仕事終わりに飲みやご飯に行く事はあるけど、休日に会うのは初めてで、今、凄く緊張している。

目｢はぁ...大丈夫かな、俺。｣

だいぶ早めに着いた待ち合わせの場所でAさんを待っている間ずっと、何で俺の事誘ってくれたんだろう、とか、阿部さんは平気なんだろうか、とか、色々考えてしまっていた。

『お待たせ！』

目｢あ、こんにちは！｣

『ふふっ、何か、休みの日にこうして会うの、緊張するね(笑)』

目｢はい...｣

『ふはっ、緊張してる(笑)てか、めめくんの私服初めて見たけど、素敵だね！似合っててカッコいい！』

目｢えっ？！あ、えっと、あの、ありがとう、ございます...Aさんも、えっと、か、可愛いです...｣

『え、あ、ありがとう...何か、照れるね(笑)』

目｢ふはっ、そうですね(笑)あー、行きますか？｣

『うん、行こ♪』

初めて見たAさんの私服姿はとても可愛くて、俺なんかが隣を歩いても良いのか？と思う程だった。

映画館に着いて見るものを決めた後、上映時間まで少し間が空くから、近くのショッピングモールをブラブラして時間を潰す事になった。

『あ！これ可愛い♪ねぇ、めめくん、見て！』

目｢え？あ、本当だ。可愛い。｣

『ね！こっちも可愛いなぁ♪』

とある雑貨屋さんに入って色々見ていたら、Aさんが気になる商品を見つけたようだった。

目｢Aさんなら、こっちの方が似合うと思います。｣

色違いのスマホケースで迷っていたAさんの手元を見て、思わず口出ししてしまった。

『...じゃあ、こっちにする！ありがと、めめくん！』

目｢あ、すみません、勝手に口出ししちゃって...｣

『ううん！なかなか決められなかったから助かった！あ、そうだ...』

目｢？｣

『こっちはめめくんが似合いそうじゃない？』

そう言って選ばなかった方を俺に渡してきた。

目｢え、そうですか？｣

『うん！似合う！ね、お揃いで買わない？』

目｢え...｣

『あ！ご、ごめん、お揃いとか嫌だよね。調子乗っちゃった(笑)』

目｢あ、いえ！お揃い、嬉しいです。お願いしても、いいですか？｣

『ありがとう！じゃあ、お会計してくる！』

目｢あ！待って！｣

そう言って2つ持ってレジに向かおうとするAさんを引き止めた。

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