彼女まで〇センチ (ページ34)

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ファイルが落ちきったのを見計らって、腕の中のAさんを見る。

目｢...怪我、してないですか？｣

『...めめくん、ありがとう。』

目｢いえ...｣

『てか！大丈夫？！思いっきり当たったよね？！怪我してない？』

目｢大丈夫です。意外と頑丈なんで(笑)｣

『...良かった。ごめんね、私のせいで...』

目｢いえ。Aさんが怪我しなくて良かったです。｣

『それより、めめくんここにいたんだ。誰もいないと思ってたからビックリした...』

目｢あー、部長に資料持ってくるの頼まれて...誰か入ってきたのは分かったんですけど、俺のいた所からは見えなくて...戻ろうとしたらファイル押さえてるAさんいてビックリした(笑)｣

『そっか。死角になってて見えなかったんだね。でも、めめくんいて助かった...あのままだったら絶対下敷きだったもんね(笑)本当にありがとう。』

目｢いえ。俺も必死だったんで...｣

『それで、その...めめくん』

目｢はい？｣

『えっと...その、そろそろ離して貰っても大丈夫だよ？』

目｢え？｣

『ずっと、抱きしめられてて、さっきからドキドキしっ放し...』

目｢...ぅわっ！！｣

『ふふっ(笑)』

目｢すみません！｣

『ううん、守ってくれてありがとう。めめくんで良かった。』

目｢...あの！｣

『ん？』

目｢あの...今日って夜、空いてますか？｣

『...うん。空いてます。』

目｢あの、そしたら、今日、ご飯行きませんか？｣

『はい。行きます。』

目｢っ、ありがとうございます！...じゃあ、とりあえずココ、片付けます？｣

『ふはっ、そうだね(笑)片付けよう(笑)』

落ちてきたダンボール達を片付けて、資料を部長へ届けると、「遅いぞ！」とちょっと怒られた。

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そして夜。

同じタイミングで帰る事が出来た俺とAさんは、一緒に居酒屋に行った。

「『かんぱーい』」

適当に料理と飲み物を頼んで、あの映画に行った日以来のAさんとのご飯にウキウキしていた。

ご飯中も、今朝まで微妙な雰囲気だった事が嘘かのように、世間話や仕事の話等で楽しく過ごした。

そして明日も仕事だからと、2人とも最初の1杯以降はソフトドリンクかノンアルを飲んで、2時間ほどでお開きになった。

1人で帰れるというAさんの申し出を断固拒否し、2人で帰る。

2人で帰る道中は、さっきまでの居酒屋のザワザワ感はなく、静かで、少しだけ気まずい...

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