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仕事にも慣れてきた頃、徐々にAさんから離れて1人で仕事をする日が増えてきた。
最初こそ不安もあったけど、何かあればすぐフォローしてくれるAさんに凄く助けられたし、ちょっとした事でも褒めてくれるから、少しずつ自信も付いてきて、何とか1人でも仕事が出来るようになっていた。
多分、それで油断してたんだと思う。
いつもなら絶対しないようなミスをしてしまった。
しかも、まぁまぁデカいミス。
部長から怒鳴られたりするほど怒られてはないけど、入社して初めての大きなミスで、ありえない程落ちこんだ。
そこから終業時間まで、どうやって仕事してたか分からないくらい意識がどっか行ってた。
定時になって周りがどんどん帰っていくのに、俺はなかなか立てないでいた。
『めめくん。』
すると、Aさんから声をかけられた。
まだ残ってたんだ。
そう思って、「はい」と返事をした。
『今日、飲み行かない?』
目「え?」
突然のお誘いに戸惑ってしまう。
『予定あるなら断ってもらって大丈夫だよ。でも、もし暇なら少しだけ付き合って欲しいなぁって。』
もちろん俺に予定など無いので了承した。
『やった!』と喜ぶAさんを見て、少しだけ気持ちが軽くなった気がした。
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会社近くにある居酒屋に来た俺達。
『今日は私の奢りだからね!好きなだけ飲んで食べて!』
とAさんが言った。
目「いやいや!ちゃんと割り勘にしましょ?俺も払います!」
さすがに奢ってもらう理由もないので断ると
『ダメ!今日は私が奢るの!めめくんは1円も払わないで!』
と、断られてしまった。
Aさんを見ると、絶対譲らない!というような顔をしていたから、諦めて素直に奢って貰う事にした。
そこからは、世間話をしたり、ふっかさん達の話をしたりして過ごした。
Aさんから出てくる同期の面白トークが本当に面白くて、気付いたらめちゃくちゃ笑っていた。
『やっと笑った♪』
Aさんが嬉しそうに呟いた。
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作者名:ちり | 作成日時:2023年11月17日 19時