My Destiny Ⅱ (ページ13)

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目黒side

雑誌であの言葉を見たとき、これだ！と思った。普通に考えたらいきなり告白はおかしいだろう。でも俺に与えられたチャンスは1回、やれることはやりたい。

本当は会ってすぐ言おうと思ったが、結局伝えられたのは水族館に入る直前。いきなりにもかかわらず、真摯に受け止めると言ってくれた彼女は本当に素敵な人だな。

シャチエリアでは見えなさそうにキョロキョロする姿が可愛くて、こちらに引き寄せたはいいが距離が近すぎる。今にも触れてしまいそうになるのを必死に堪えた。彼女もドキドキしてくれてたら嬉しいなーなんて。

トンネル水槽では彼女の顔がよく見えた。ナチュラルメイクがどストライク。何とか写真に納めたいが、盗撮はまずいだろうと自問自答をしながら水槽の写真を撮っていると…

パシャ

彼女が俺の写真を撮った。お、これを理由にお願いするチャンスなのでは？単体だと恥ずかしがるだろうし一緒に撮ってもらう事にしよう。

目「消さなくていいです。でもその代わり一緒に写真撮りませんか？」

彼女は驚いた顔をしたが、あっさり頷いてくれた。俺がカメラを構えて、背景にちょうどエイが来たタイミングでシャッターを押した。照れたように笑う顔が可愛い。大切に保存しておこう。

『ツーショットなんて久しぶりで緊張しました…』

目「俺もです。というか初めて撮りました」

幼馴染が結婚してからの俺は、ふらふら適当に遊んでいただけ。ちゃんとしたデート自体初めてだったりする。

良い時間になったのでイルカショーエリアに向かう。キッチンカーでお昼を買って、始まるまでの間に食べることにした。高い飲み物は無かったので、サンドイッチと飲み物を彼女が買ってくれた。

目「席はどの辺りにします？」

水かぶり席も臨場感があっていいけど、濡れるの嫌かな？ここはAさんの判断に委ねよう。そう考えていると、彼女は懐かしむような表情をしながらこう言った。

『小さい頃、家族や幼馴染と来ていた時は水かぶり席でびしょ濡れでした。でも上の方が全体が良く見えるかも…』

「目黒さんはどこがいいですか？」と聞かれたので「水かぶり席」と即答してしまった。

『では、そこにしましょうか』

正直、席はどこでもよかった。でも幼馴染という言葉が出た瞬間に、その記憶を上書きしたいと思ってしまった。自分が知らない彼女を知っている事が悔しくて、会ったこともない人に嫉妬してかっこ悪いな。

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