My Destiny Ⅱ (ページ33)

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目黒side

最初は緊張していたAもすっかり馴染めたようで、いつも通りたくさん食べてて嬉しくなった。ただ性格的なものだろう。お客様なんだから座っていればいいのにそれが落ち着かないようだ。

『私は何をすれば…』

俺がコーヒーの準備をしていると、近寄ってきてソワソワしている。子犬みたい。

目「…一緒に淹れてみる？」

『やる！』

俺が問うと食い気味に返事が返ってきた。嬉しそう。
「それなら…」と彼女を俺の前に立たせ、ドリップポットを一緒に持ち上げゆっくりお湯を注いでいく。

『いい匂い～』

目「俺このゆっくり時間かけてお湯を注ぐ工程好きなの」

『分かるかも。なんか落ち着くもんね』

共感してもらえた嬉しさと至近距離に好きな人がいるという誘惑に負け、つい空いている左手で彼女を抱きしめる。水族館の時は我慢したけど今はもう良いよね？

『！！』

赤くなった耳を見て満足していたら…"ガタン"
物音がした方を見ると、なんと奥に続く扉から2人が覗いているではないか。

奥「若いっていいわね～」

オ「油断も隙もねーな」

そう言ってニヤニヤしている2人に気づいた彼女は「すみません！」といって離れてしまった。残念。
その後は俺が淹れている所を大人しくカウンターに座って見守ってくれていた。

『蓮さんの目指すカフェはどんな感じなの？』

俺はカフェのイメージ像を丁寧に説明する。
1番のコンセプトは「癒される空間」という事も。
彼女は俺の話をじっくり聞き、懐かしむように優しく笑った。その理由を俺が問うとこう答えた。

『幼馴染も店やっててね。オープン当初にこうやって嬉しそうに説明してくれたの思い出して』

そう話す彼女はとてもいい表情をしている。
しかも、こないだの人とは違う幼馴染らしい。

目「教えて。幼馴染は2人いるって事？」

『ごめん言ってなかったね。実は3人いるんだ』

勝手に1人だと思い込んでいたけどまさか3人もいるとは。
そういえば"幼馴染たち"って最初の頃言っていたような…

目「ねえ、今度俺の事も幼馴染に紹介してくれない？」

『そうしたいのは山々なんだけど…』

なんとその幼馴染たちに避けられているとか。
俺的にはありがたいけどAが悲しむのは見たくない。
最近ボーっとしている事が多いのは、恐らくそれが原因だろう。

『聞くだけ聞いてみるね』

俺は何とも言えない複雑な感情で、残りのお湯を優しく注いだ。

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