My Destiny Ⅱ (ページ45)

今日:16 hit、昨日:116 hit、合計:123,598 hit

94 阿部side ページ45

・

阿部side

昨日から彼女が友人と旅行に行っており、この土日は1人で過ごす。寂しいけれど、たまにはこういうのも良いよね。

そんな俺が1番に向かうのは"caféイチバンボシ"
飲み物を頼むと無料でパン等がついてくるモーニングがお気に入りなのだ。

お店に入ると俺の定位置には先客がいた。
あれ？あの後ろ姿って…

奥「いらっしゃいませ～♡」

阿「おはようございます。佐藤さん」

カウンター席に向かい、チラッと彼を見るとバッチリ目が合った。

目「おはようございます」

阿「おはようございます。ここいいですか？」

目「…どうぞ」

A先生らしき人の横に座ると、ちょっぴり不満げな目黒くん。そしてコーヒーを夢中で見ている彼女は俺に気づく気配なし。

目「ご注文は？」

阿「彼女と同じもので」

目「…かしこまりました」

奥「阿部くんもモーニングどうぞ」

阿「ありがとうございます」

『あべ…阿部先生！？』

奥さんが俺の名前を言ったことでようやく認識してくれたようだ。

阿「コーヒーに夢中すぎですよ」

『すみません…あ、おはようございます』

よく見ると昨日と同じ服…そういう事か。
本当は色々聞きたい所だけど、彼がいると話しづらい。

『今日、彼女さんは？』

阿「昨日から旅行行ってて。1人満喫中です」

『そういう時間も必要ですよね』

目「おまたせしました」

『ありがとう。あ～いい香り～』

阿「目黒くんのコーヒーは絶品ですよね」

2人で手を合わせ食べ始める。
コーヒーはもちろん焼きたてのパンも新鮮なサラダも全てが最高だ。

『なにこれ美味しすぎる！』

前も思ったけど美味しそうに食べるな…
そしてそれを見る彼はすごく嬉しそう。こんな表情も出来るのね。

『おすすめする理由も納得です！今度、家族も連れてこようかな』

阿「いいですね。俺もよく彼女と来てます」

その後は各自過ごした。俺は読書、彼女は目黒くん達とお話ししたりしていた。そろそろ次の目的地に行く為に栞を挟もうとすると、手が滑って落としてしまう。

『あ、栞…どうぞ』

阿「ありがとうございます。…A先生、この後って」

『駅前で買い物して帰ろうと思ってます』

阿「俺も本屋行くので途中までご一緒しても？」

俺がそう言うと彼女は「えっと…」と彼を見る。

目「いってらっしゃい」

本当は一緒に帰るつもりはなかったけれど、栞を拾う時に見えた首元の絆創膏を俺は見逃さなかった。

・