My Destiny Ⅱ (ページ49)

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『落ち着いた？…どうぞ』

目「うん。コーヒーありがと」

蓮さんの見よう見まねで淹れたコーヒーを2つ並べ、ソファに座る彼の横に私も腰かけた。

目「いただきます…んっ美味しい」

『ほんと？よかったぁ』

「センスあるね」と顔を綻ばせる彼を見て嬉しくなる。
私も一口飲みつつ何から話そうか考えていると、彼が先に口を開いた。

目「ねえ…A。花火大会が終わったら1ヶ月だね」

『…そうだね』

目「終わったら…さ」

そこまで言った彼は俯き言葉を詰まらせる。
また少し震えだした彼の手に自分の手を重ねた。

『私…こないだ幼馴染と会うのやめるって言ったでしょ？…それね』

目「やめないで」

『！…でも…』

目「いいの。幼馴染といるAが好きだから」

さっきまで俯いていた彼は、私の目をしっかり見てそう言い切った。そして意を決したように言葉を続ける。

目「花火大会終わったら…俺たち、友達に戻ろう」

『友達…』

目「友達というか付き合う前に戻るというか」

戻ったらお互いが"自分の気持ち"を大切にできるようになるかな？ここで"別れる"じゃなくて"戻る"という優しい言葉選びをするところが好き。

目「本当は嫌だよ？こんな好きなのに。でもこのままだと幼馴染と会うなって言っちゃうから、恋人関係を解消する事で言う資格を無理やりなくす作戦」

そう言って力なく笑う彼を見ると胸が締め付けられた。

目「そうすればAも幼馴染と会えるし、俺も諦めがつくし一石二鳥……やば」

『…泣かないで』

流れた涙を隠すように俯いた彼の頬を、両手で優しく包んでこちらを向かせる。

目「そういうAも泣いてるじゃん」

『えっ、』

慌てて自分の頬に触れると濡れる指先。
彼は私の涙を指で拭い、次は正面から抱きしめる。
私もそっと彼の背中に手を回した。

目「あー悔しい。こうなったらAにはめちゃくちゃ幸せになってもらわないと」

『蓮さんもね』

目「それは無理かな」

『なぜ？』

目「当分はAのこと引きずるので(笑)」

そう言いながら彼は抱きしめる手を強める。

目「花火大会までは恋人なんだから、手を繋いだりキスしちゃっても許してね？」

『喜んで』

目「もー…可愛すぎるんですけど」

彼は1度身体を離し、私をジーッと見つめる。
そしてどちらからともなく唇を重ねた。

こうして私たちは、花火大会をもって恋人関係を解消する事となった。

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