My Destiny Ⅲ (ページ20)

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渡辺side

人生で1番緊張したかもしれない。
でも涼太からもらったアドバイスのおかげで、何とか言葉にできた。

【うまく言葉にできない時は深呼吸】

これからも愛用させてもらいます。

"いいね。どこ行こっか"

よっしゃ。

渡"すのパーとかどう？"

"それはまた懐かしい所に"

snowパーク。通称"すのパー"は雪が丘にある遊園地。小さい頃からみんなでよく行った場所。俺は2人みたいに何かプレゼントするとか苦手だから、楽しい時間を共有する方向で頑張る。

"高校の時みんなと行ったのが最後だ"

渡"俺は…元カノと行ったような"

"何その曖昧な感じ"

その時は全然楽しくなかった記憶だけほんのりある。
みんなと行くのは楽しかったから、どこに行くかより誰と行くかが大事なのを痛感したんだっけ。

"チケット値上がりした？"

渡"そんなこと気にすんなよ"

"気にするでしょ。早く乗れるのもつけたらどれくらいになるかなーとか"

渡"俺が全部出すから大丈夫"

"なんで翔太が全部出す事になってるの"

渡"なんでって…誕生日だし…"

俺がそういっても全然納得しない。「誕プレも貰うのに」と言うけど、ちょっとくらいカッコつけさせてほしい。

渡"いいから。当日財布出すの禁止な"

"やだ！それなら行かない"

うーん。どうにかして納得させなければ。
ちょっと強引かもしれないけど、ここは一歩踏み込んでみるか。

渡"じゃあ…すのパーのあと俺んち泊まってよ"

"え？"

渡"誕生日になった瞬間。1番におめでとう言いたい"

"それで交換条件になるの…？"

渡"なる。1番って特別でしょ"

我ながら"らしくない"セリフだと思う。
冷静に考えるとめちゃくちゃ恥ずかしい。

少しの沈黙のあと「わかった」と返事をしたAと当日の打ち合わせタイム。

渡"ちなみにパジャマはあるから"

"翔太の貸してくれるの？"

渡"いや、妹が置いてったのがあって。俺のがよけ"

"さくらちゃんの借りる～"

渡"……そうかよ"

こいつ遮りやがった。別にいいけど。
実はこないだ辰哉に隠れてAに似合いそうな物を買ったのだ。でも用意周到だと思われるの嫌だし、妹のという事にしておこう。

「おやすみ」と電話を切り、枕に顔を埋める。
やっと2人で出かける時間を作ることができた。

勢いで泊まってなんて言ってしまったけど色々大丈夫だろうか…って何を心配してんだ。おめでとうって言うだけだろ。

渡「…とりあえず寝よ」

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