My Destiny Ⅲ (ページ39)

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渡辺side

やっべー。
あと少しでキスするところだった。

そんな事したら、一瞬で関係崩壊してたな。
他の奴とは違うんだから慎重に。反省しろ、俺。

渡「どーぞ」

『お邪魔しま…物少なっ！』

いや、第一声それ？確かに少ないけども。

『生活感がなさすぎる』

渡「ミニマリストなんで」

『うわーかっこいいー』

渡「棒読みやめろ？」

ひとまずソファに座ってもらい、俺はお風呂の準備に向かう。汚れがないか隅々まで最終チェック。

準備を終えリビングに戻ると、本棚の前にいるA。
「なーにしてんの」と背後から近づけば、「これ見ていい？」と嬉しそうに振り向く。

渡「卒アル？」

『うん！一緒に見よ！』

ソファに並んで座り、卒アルを開く。

『まずは小学校。この頃の翔太は可愛かったね〜』

渡「今もかわいーだろ」

冗談で言ったのに。
ドン引きした目で見てくるから頬を抓ってやった。

思い出話をしつつアルバムを見ていると、可愛らしい音がする。

渡「お風呂沸いたよ」

『先に入ってきて！運転もしてお疲れでしょ』

「別に…」と言おうとするが「いいから！」と背中を押され、脱衣所に押し込まれた。

『アルバム見てるから、ごゆっくり～』

ほんとこういう時のAは強引だな。
お言葉に甘えてゆっくりさせてもらお…いや待てよ。

俺は湯舟に浸かりながら、ある事を思い出す。

記憶が正しければ、高校の卒アルに挟んだ気がする。
…文化祭でメイドのコスプレをしたAの写真。

俺らには絶対撮らせてくれなくて、友達同士で撮った写真を譲ってもらったのだ。

まずい。それがバレたらドン引きじゃ済まない。

最低限のスキンケアをしてリビングへ急ぐと、誰かと電話をしているA。

『楽しかったよ～』

『今は翔太の家で卒アル見てる』

『ん？大丈夫だって』

まだ小学校で止まっている卒アルに安心した俺は、電話に夢中な彼女の肩を優しくたたく。

『翔太戻ってきた。バトンタッチするね』

渡「え、誰」

『辰哉。お風呂お借りしまーす』

渡「待って。パジャマ」

『ちいかめだ！かわい～ありがと』

脱衣所に消えていくAを見送り、電話をスピーカーにしてスキンケアの続きを行う。

深"翔太く～ん？な～に連れ込んでんの"

渡"別に連れ込んだわけじゃ"

深"パジャマまでしっかり準備して？こないだ、買ってたよね"

まじか…絶対バレてないと思ってた。

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