My Destiny Ⅲ (ページ40)

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渡辺side

深"バレてないと思った？"

渡"…うん"

深"あれはバレるよ。ちょー挙動不審だったもん"

うーわ、恥ずかしすぎる。

深"それは置いといて。ちゃんと言ったの？"

渡"まだ。でも、何とか、今日中にがんばる"

深"そっかあ。そういう大事なことは、言わなくてもわかるだろうは絶対だめだからね"

渡"わかってる"

深"んーこれだけは言わせて"

そう言った辰哉は、これまでとは違う真剣なトーンでこう続けた。

深"もし…ちゃんと言う前に手出すような真似したら、翔太だろうと許さないから"

顔を見なくてもわかる。今の辰哉は本気(まじ)だ。
普段は穏やかだがキレるとかなり怖い。
常に無愛想？な俺がキレるよりよっぽど。

深"俺からは以上でーす。じゃ、おやすみ～"

渡"おやすみ"

今日中とは言ったものの。
時計を見ると23時を少し回った所だった。

渡「1時間もないじゃん…」

『あれ、もう電話終わったんだ』

いつの間にかお風呂から出ていたAが、その場でくるっと回る。

『どう？パジャマ似合う？』

渡「ん。いいじゃん」

俺の見立ては間違ってなかったな。似合ってる。
「さくらちゃんにお礼言わなきゃ」とスマホを触ろうとする横顔を見て、俺はあることに気づく。

渡「ねえ、スキンケアちゃんとした？」

『えーと、した…よ？』

絶対してねーな。髪も乾かしてないし。
腕を掴んで隣に座らせ、スチーマーをAに向ける。

『わっ？！え、毎日こんな事してるの？』

渡「たりめーだろ。これ左から順に使って」

『あーこれ知ってる。翔太に似てる人がアンバサダーやってるやつだ』

渡「似てるか？使用量ケチるなよ」

スキンケアをするAの髪を乾かす。
今までに相当な人数の髪を乾かしてきたけど、やっぱりこいつの髪質いいんだよなあ。

乾かす音で聞こえないのをいいことに「好き」っていう練習してみたりした。うける。

寝る準備を終えて時計を見ると23時30分。
そろそろ腹を括らないと。

渡「…あのさ」

『…』

話しかけても返事がないと思ったら、隣で船を漕いでいるA。かなりはしゃいでたし、疲れてないわけない。

渡「おーい。ベッドいくぞ」

『ん…』

寝ぼけ眼をこする彼女をベッドに寝かせる。

『しょーたぁ？』

渡「俺はまだ。おやすみ」

『…すみ』

ふは。言えてねーし。
気持ちよさそうに眠るAの髪をそっと撫で、リビングに戻った。

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