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渡「彼氏になってやろーか」
…突然、何を言い出すの?
しかも相変わらずの上から目線。
渡「俺ら…あっちの相性良かったし」
『___!!』
そう耳元で囁かれれば、全身に鳥肌が立つ。
『近づかないで、』
渡「遊ぶつもりだったけど、今のお前なら正式な彼女にしてやってもいーよ」
"正式な彼女"
やっぱり前は遊びだったんだ。
実際に言われると、かなりキツイな…
渡「とりあえず、続きは俺の家で」
乱暴に掴まれる腕。
今までの私なら言いなりになっていただろう。
でも、もう5年前の私じゃない。
『……るな』
渡「は?」
『その汚い手で私に触るな』
渡「!……お前さあ」
私の腕を引き寄せた彼は、空いている手で顎を持ち上げ顔を近づける。
今にも唇が触れそうな距離感に身動きが取れない。
渡「そんなメチャクチャにされたいわけ?」
『…っ』
渡「お望みなら今ここで」
?「はい、ストップ」
…この声は。
渡辺さんの注意が逸れた隙に腕を振り払い、声の主に駆け寄る。
『深澤さん…!』
渡「…誰、お前」
深「俺?俺はねぇ__」
そう言った彼は、私の肩をぐっと抱き寄せた。
深「Aの彼氏」
か、彼氏!?
慌てて彼を見上げると、いつもと雰囲気が違う。
髪型、かな…ノーセットな姿は初めて見た。
渡「んだよ、彼氏いんじゃねーか」
深「そ。だからもう、近づかないでくれる?」
「行こ」と手を引かれ、横を通り過ぎようとしたその時_
渡「ねえ、コイツなんかのどこがいいの?」
"コイツなんか"
ほらね。彼はすぐに人を見下して貶す。
深「良い所ばかりだけど」
『え……』
深「元カレのくせに、そんな事も知らないんだ」
渡「だってコイツ」
深「てゆーか」
渡辺さんの話を遮った彼は、こう言い放つ。
深「人の悪口しか言えないなんて、可哀想な人」
繋いだ手をギュッとして再び歩き出す深澤さん。
その手が温かくて、泣きそうになった。
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しばらく無言で歩き続け、彼はふと立ち止まる。
深「家…こっちで合ってたっけ」
彼の問いに首を小さく縦に振った。
深「よかったあ」
早く、早くお礼を伝えないと_
『……深澤さん』
深「ん?」
『………すみません』
その言葉を聞いた彼は、困ったように微笑む。
深「すみませんじゃなくて、ありがとうがいいな」
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あんこ(プロフ) - 愛結さん» コメントありがとうございます(o^^o)叫びそうにまでなっていただけたとは!最高の褒め言葉です。私が書くとどうしても阿部様になってしまいがちです…そんな彼が素敵なので。引き続きよろしくお願いします★ (4月25日 20時) (レス) id: e8d67e08c2 (このIDを非表示/違反報告)
愛結(プロフ) - 阿部様書いてくださってありがとうございます。仕事休憩中に叫びそうになりました. (4月25日 13時) (レス) @page32 id: 6e8b454d13 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - みぃ〜さん» 初めまして。コメントありがとうございます★同士の方いらっしゃって嬉しすぎます(*^_^*)もう少し出せたらと思ってますので楽しみにしていてください♪引き続きよろしくお願いします! (3月21日 8時) (レス) @page37 id: 69aa8b4767 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ〜(プロフ) - 初めまして。橙さんの相棒はあの人しかいないですね!私、同士です!この作品に出てきたことがなんか嬉しかったです☆色々とお忙しいと思いますが、マイペースに更新頑張ってください!楽しみにしてます♡ (3月21日 0時) (レス) @page37 id: db78e452a1 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます★私の趣味全開の小説にそう言っていただけると励みになります(o^^o)しかも私の心配までありがとうございます…!無理せず頑張ります!今後ともよろしくお願いします♡ (3月16日 8時) (レス) id: 69aa8b4767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2024年2月11日 21時